2011.5.7更新

慶應義塾大学 文学部  中国文学専攻・文学部中国語部会







 
―――――――――――――――― 
【刊行物】

『藝文研究』(第98号~)の目次はこちら



廉思 編 / 関根謙 監訳 『蟻族 高学歴ワーキングプアたちの群れ
勉誠出版 2010年 
【内容紹介】
中国で社会現象となっている、北京郊外に群居する高学歴ワーキングプア集団「蟻族」に対する調査報告の翻訳。翻訳は、吉川龍生・藤井敦子・赤平恵里・橋本陽介・李菲ら、中文院出身・在学の研究者が担当した。
【目次】
『蟻族』を読む前に―序にかえて (関根謙)
Ⅰ 「蟻族」誕生記
Ⅱ 「蟻族」のすべて
Ⅲ 「アリ」伝奇―「群居村」取材レポート
後記 (廉思)
解説 (加々美光行)

勉誠通信 第25号に、関根謙「上海万博から蟻族まで」が掲載されました。



「三国志」漢詩紀行 八木章好 著『「三国志」漢詩紀行』
集英社新書 2009年 
【内容紹介】
曹操の「短歌行」、杜甫の「蜀相」、蘇軾の「赤壁の賦」等々、本書は、「三国志」の歴史舞台を古典詩詞の名作で訪ね、新たな文学的興趣を引き出そうとするものです。二千年前の中国大陸へ、遙かな時空を超えて歴史浪漫の旅に出ましょう。
【目次】
はじめに――「三国志」入門
第一話 白骨、平原をおおう――戦禍のルポルタージュ
第二話 憂いを解くはただ酒あるのみ――覇者曹操の気概
第三話 豆は釜中にありて泣く――貴公子曹植の苦難
第四話 遥かに想う、千古風流の人物――赤壁の古戦場
第五話 東風、周郎のために吹かざれば――杜牧の詠史詩
第六話 天下の計、老臣の心――杜甫の孔明讃歌
付録1 「漢詩」の基礎知識
付録2 「三国志」関連資料
     (一)「三国志」年表 (二)「赤壁賦」「出師表」原文



プライベートライフ 陳染 著 / 関根謙 訳 『プライベートライフ』
慶應義塾大学出版会 2008年 
【内容紹介】
 著者の陳染(チェン・ラン、1962年生まれの女性作家)は、現代の中国文学界を代表する作家の一人。アメリカでも英訳出版されて注目された本作が、日本で初めて紹介される単行本作品となる。30歳になろうとする女性ニュウニュウを語り手に、鋭敏な少女時代、担任教師からの嫌がらせにあう小中学生期、その嫌がらせの歪んだ愛=欲望に気付くハイティーン期、広場に起こる政治のうねりと恋愛の重なる大学生時代、恋人の国外逃亡、姉とも慕う隣人女性の死、母の死、と続く不幸を逃れるようにバスルームにひとりこもって回想する。女性の官能の美とは何か、自分の存在とは何かを「肉体の言語」で描き、世紀末の中国に新しいアイデンティティを示唆し、現代中国の「今」をつたえる長編小説。

本編12章より
 人が聴き取っている声は実は錯覚で、声を発するものとそれを聴取するものとの間に絶対的な関係などない。もしも魂がなく、幻想の欲望もないとしたら、世界中のすべての耳は単なる空白となるだろう。
 本当は、わたしたち自身の皮膚が鋭く叫んでいるのだ。その声はわたしたち自身の体内にこだまし、わたしたちの内部で消えていく。


詳しくは下記の慶應義塾大学出版会のサイトにて。



アジア遊学No.97「現代中国のポピュラーカルチャー」 アジア遊学No.97 『現代中国のポピュラーカルチャー』
勉誠出版 2007年 
【内容紹介】
映画、演劇、京劇、現代アート、漫画、インターネット、そして少数民族から発信される文化まで、多様なメディアのなかでリアルタイムに躍動する中国の「ポピュラーカルチャー」を紹介する。
【目次】
◎巻頭言 文化のカオス
    ~それは「終わり」のはじまりなのか、それとも…… 関根謙
◎現代映画の展開
  ・新時代の中国映画 ~基礎を築いた第四世代 戸張東夫
  ・最近の中国映画事情 ~饅頭から石頭まで 水野衛子
  ・映画を通じた国際文化交流の取り組み
     ~彩の国さいたま中国映画祭 江口昌稔
  ・「わたし」という迷宮へ ~映画「緑茶」の味わい方 小川利康
  ・秦書田はなぜ「瘋癲」か?
     ~『芙蓉鎮』に見る知識人の処世術 八木章好
  ・映画作品とエピソード化する原作 関根謙
◎舞台芸術の世界
  ・「改革・開放」後の中国現代演劇 飯塚容
  ・都市における中国現代演劇の諸相 田村容子
  ・私の北京演劇遊学 高橋珠美子
  ・京劇はどうなるのか ~一票友の憂い 山下輝彦
  ・歌舞伎と中国演劇
     ~ある一劇団の日中文化交流の軌跡 鈴木龍男
◎サブカルチャーの諸相
  ・〈アトム〉からカオスへ ~中国マンガの変貌 千野拓政
  ・AVポスター事件とインターネット社会 千田大介
  ・『流星花園』を振り返る ~「華流」ブームのゆくえ 山下一夫
  ・サブカルチャーとしての三国志 吉永壮介
  ・台湾原住民俗とその言語世界 中野裕也
  ・中国現代アートの現状と課題 牧陽一            他



心の「ツボ」に効く漢詩・漢文 八木章好 著 『心の「ツボ」に効く漢詩・漢文』
講談社+α新書 2007年 
【内容紹介】
さらば!「カリカリ人間」「イライラ人間」。品格を磨き、美徳を積み、余裕を持とう。日本人が失いかけているモラルやマナーを取り戻す名句・名言。「現代人のつぶやき」に答える知恵を漢詩・漢文の中から探し、古代聖賢の言葉を現代に伝える。
【目次】
第一章 「立派な」生き方のツボ 大人の品徳
第二章 「賢い」生き方のツボ 明哲保身の処世術
第三章 「豊かな」生き方のツボ 風月は無尽蔵



心を癒す漢詩の味わい 八木章好 著 『心を癒やす「漢詩」の味わい』
講談社+α新書 2006年 
【内容紹介】
陶淵明、李白、杜甫、王維、白居易、蘇軾…。十数億の中国人のほとんどが知っている、かつ日本人も愛誦している珠玉の名作を厳選のうえ紹介。どれもが漢字文化が産んだ精神文明の結晶です。心に響く漢詩を存分に味わってください。
【目次】
序章 漢詩の基礎知識――漢詩を味わう前に
第一章 自然に抱かれて――明月・山河・四季のうた
第二章 時世を傷んで――戦乱・慨世のうた
第三章 人世の折々に――情愛・行旅・閑適のうた



飢餓の娘 虹影 著 / 関根謙 訳 『飢餓の娘』
集英社 2004年 
【内容紹介】
Amazonのカスタマーレビュー
 「ヤヤー」さんの書き込みより

十八歳の頃、自分は何を考えていたんだろう。 少なくとも、食べる心配はしていない。・・・受験? それだって、今思えばそれほど真剣じゃなかった。 ただ、自分が生まれ育った家から出て行くことだけは決めていたけれど。 それも、親が何もかもしてくれるとわかっていた。 だから、隣の国で何が起こっていたのかなんて知らなかったし、興味もなかった。自分と同世代の人間が、食うや食わずの生活をしていたなんて!しかもあの中国で、料理の歴史も華やかな国で!まるで戦時中のような生活の様子に、信じられない思いで読んだ。自分の出自を呪うということはこういうことなのかと思う。きめ細やかな愛情にあふれた日常生活など、六六(リュウリュウ)には望むべくもなかった。国の、党の政策に従って家族を作り、国民としての義務を果たすことを強制され、それでも必死に生きている底辺の人々。しかしながら、そのスラムこそが六六の人となりを作り上げたのだ。淡々とした語り口とは裏腹の、激しい女の半生である。

Amazonのカスタマーレビュー
 
「ようこ」さんの書き込みより

小道具ではない描写は、ずしずしと目の前に映像として迫ってきます。早く言えば、悲惨なスラムの暮らし、読むのをためらいながらも、先を読まずにいられない筆力。ぜひ、多くの女性に読んでいただきたい。

Amazonのカスタマーレビュー
 F1フリーク」さんの書き込みより

タイトルが気になって、購入してしまいました。なんとも心が痛い、胸に詰まるような思いです。何の苦労も無い私たちが、こんな境遇を想像なんて出来ません。すべてが過剰で、有り余る生活をしている私たちに突きつけられる、大きな課題です。皆さん是非読んで何かを感じ取ってください・・・。う~ん・・・上手く説明できない。




時間を渡る鳥たち 格非 著 / 関根謙 訳 『時間を渡る鳥たち』
新潮社 1997年 
【内容紹介】
Amazon カスタマーレビュー
 
「三月うさぎ兄」さんの書き込みより
全体として、中国の作品とはまったく意識しないで読める(読ませる)作品集。どこかコルタサルを思わせるような雰囲気があります。とくに面白かった二編についてご紹介。
 「夜郎にて」 
訳者はたぶんあんまり意識してないのではないかと思ってしまうのですが、作者格非のユーモア感覚が伺える作品です。梅雨の長雨、憂鬱症、関節炎、肝炎....うつうつとした雰囲気が全編を貫いているにもかかわらず、僕は笑いました。笑いが街と精神の孤独を強調しているように思います。ラストで日が射すように明るくなり、印象的な秀作。  
「時間を渡る鳥たち」
作家格非という話者が棋(チー)という知り合いなのか否か定かでない若い女に自身の過去を語るという構成。現在と過去が交錯し記憶が裏切られ事実と想像が入り交じる、僕好みの作品でした。

 一番上に戻る
 

このサイトは、慶應義塾大学文学部・中国文学専攻の公式HPです。
当サイトの文章・写真を無断で転載することを禁じます。
連絡先:108-8345 東京都港区三田 2-15-45 慶應義塾大学 文学部 中国文学研究室
since 2009.4.11