留学体験記

2009.11.12更新
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【留学・研修体験記】

氏名：	佐髙春音君
留学先：	浙江大学（国際教育学院／人文学院）
留学の形式：	交換留学
留学時の学年：	学部３年
留学期間：	２００７年９月～２００８年７月

授業について：	前期は国際教育学院で主に中国語を学び、後期は人文学院に移って中国文学関連の授業を受けました。中国語クラスは初級１班から高級６班までのレベル別であり、“精読”“閲読”“リスニングと会話”“作文”などの必修科目の他に、文化や歴史を学べる留学生用の特別講座を選択することができます。私は４班からのスタートでしたが、特に中級クラス以降はHSKを意識した授業内容になっており、良い試験対策にもなりました。帰国前に漢語水平試験9級を取得する事ができたのは、経験豊富な先生方のおかげだと思っています。　半年が過ぎ、後期からは現地の学生たちと共に授業を受けることにしました。履修したのは“大学語文”“中国社会史”“漢語言文化学”“中国古典文学欣賞”“漢語言文学各学科前沿”などの科目です。はじめは先生方の話が聞き取れず落ち込んだものの、外国人を意識したやさしい中国語ではなく、あくまで“普通の”中国語で耳を慣らすことができたのは大きな収穫でした。試験内容やレポートの字数は当然中国の学生たちと同じですが、先生に相談すれば、辞書が持ち込み可になったり、書き方のアドバイスがあったりと、特別な配慮をいただけることもあります。また、浙江大学の図書館及び電子書庫は非常に発達しているため、時間のある時には思う存分資料を集めることができました。
生活について：	西湖からほど近い、緑豊かな玉泉キャンパスに留学生寮はあります。トイレ、シャワーつきの一人部屋と二人部屋には、いずれも机、ベッド、エアコン、テレビ、電話などが用意されているほか、インターネット環境も整えられており、じゅうぶん快適な住環境といえるでしょう。キャンパス自体が一つの街のようになっているため、外に出なくても大抵の用事は済ませることができます。校外には歩いていける距離に大きなスーパーがありますし、バスに乗れば大型書店や電気店、デパート、夜市などもすぐなので、買い物に不便を感じることはありません。食事に関しても同様で、私はよく学生食堂や学校付近のレストランに通っていました。杭州料理は日本人に合う味付けです。必要があれば寮の共同スペースで自炊することも可能です。　留学先の杭州は、近代的な都市景観、豊かで美しい緑と水、数多の名所旧跡など、さまざまな魅力の混在する素敵な場所です。私は散歩が趣味なので、休みの度に色々なところを歩いてまわりました。深夜に寮を出て西湖の日の出を見に行ったときのことは、特に印象に残っています。揺れる柳の下、水面を覆う蓮たちが次第に姿を現し、桃色の花弁が開いていくさまを眺めやりながら、太極拳に励む老夫婦の声と蝉の鳴き声を聞く…。帰り道に食べた油条の味は格別でした。　留学中は平日の午後や休日など自由な時間が多くありますが、勉強に力を入れるだけでなく、自分なりの楽しみを見つけて有意義に過ごすことが重要だと思います。
交流について：	中国語クラスでは各国からの留学生と交流することができます。私が特に仲良くなったのは韓国、タイ、ロシアの女の子たちでした。授業後は一緒にデザートを食べに行ったり、ウィンドーショッピングをしたり、時には自分の国の料理を作ってパーティをしたり。たどたどしい中国語しか通じなくても、楽しい気持ちは共有できるものです。また、浙江大学は日本人の数も多く、同郷の仲間たちには随分お世話になりました。会社から派遣されている方、退職後にやって来られた方、高校を卒業したばかりのまだまだ若い方など、普段接することの少ない人々と、性別や年齢を越えてお付き合いすることができたのは得がたい経験です。　毎週夕方には学内で日中交流会が開かれるのですが、そこでは日本語や日本文化に興味のあるたくさんの中国の人たちと知り合うことができます。年に何度かイベントもあり、新年会の出し物に参加したことや、龍井村までハイキングしたことは、良い思い出の一つになっています。私はここで友達になった学生と、毎週図書館で相互学習をしていました。授業では習わないような流行言葉や若者文化を教えあうなど、肩肘張らない“お勉強会”は楽しいものです。　後期からは本科の授業を取るようになったので、現地の学生たちと接する機会が格段に増えました。日本に対して特別な興味をもっているわけではない、いわゆる“一般の”中国の人たちとの交流には、とても大きな意味があったと感じています。もちろん学校以外でも交流の機会はあり、中国人の旅行団体に混ぜてもらったときにはガイドさんや同行する皆さんと一日じゅう色々な話をすることができました。自分から行動すれば、交流の場はいくらでも見つけることができるはずです。
その他（印象深かったこと、留学を考えている人へのアドバイス等）	留学したからといって、帰る頃には魔法のように語学の達人になっている、ということはありえません。現地に行ってもこつこつ勉強を続けることは必要ですし、更に大切なのは、積極的に交流の機会を“つくる”ことです。人見知りの克服できなかった私は、単に交流の機会を待っているだけのことが多く、語学の上達面を抜きにしても、色々と悔やむ気持ちの残る留学になってしまいました。　ただ、留学を決めたこと、実際に留学したこと自体に関しては、少しの後悔もありません。杭州での日々は非常に濃密で輝きに満ちており、あの一年間がなければ今の私はいなかったと思えるほどです。　これから留学を考えていらっしゃる方に、頼りない先輩から一つだけアドバイス。大切なのは、マイペースでいることと楽しむこと。必ず得るものはあります！

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